少しだけ易しいMastering Bitcoin【第10章・付録】

Bitcoinの技術面を学ぶにはこれしかないと言われているほどの名著Mastering Bitcoin を今更読んだので、自分の中での復習を兼ねて、ところどころ解説付きでまとめを書いていきます。


元の本ではサラッと流されているところもしっかり解説するつもりでお節介に書いたので初学者の人には分かりやすいかもしれません。


日本語版PDFはここで無料公開されているので翻訳者の方々への感謝を常に感じながら読みました。

無料公開版ということもあって誤字脱字もたまにあったりするので、

しっかり製本されたものが読みたいという方はAmazonで買って読むことをお勧めします。


前回↓


第10章 Bitcoinの安全性


⑴安全性の原則

- Bitcoinのシステムを安全に開発する

ユーザーの秘密鍵の保管はユーザーに任せるべし、事業者がホットウォレットで集権的に管理するとハッキングのいいカモだよ的な話


- 信用の根源

ブロックチェーン以外の何か(中央的な仕組み)が組み込まれたものを信用の拠り所にするべきではないですよという話


⑵安全性に関するベストプラクティス

 - 物理的なbitcoinの保管

秘密鍵を物理的な紙に記入して保存するペーパーウォレットを始めとするコールドウォレットの話。

コールドストレージシステムでは、鍵はオフラインシステム(インターネットに一度も接続したことがないシステム)で生成され、紙であれUSBメモリスティッ クのようなデジタルメディアであれ、オフラインで保存されます。


 - ハードウェアウォレット

Trezor等のハードウェアウォレットは安全だし、これから使われるよねという話


 - リスク配分の適正化

秘密鍵のハッキング・盗難だけじゃなくて失くしちゃうことにも注意しようねという話


 - リスク分散

全財産を一つのウォレットに入れるのではなく、複数のウォレットに分散させましょうねという話


- マルチシグネチャと管理

企業などの複数人が関わる財産を管理するときにはマルチシグで一人の人が不正に出金等できないようにしようねという話


- サバイバビリティ

現状では、秘密鍵を管理していた人が死んでしまったりした場合は、遺族が取り出したりすることすら不可能だよねという話



Appendix A : Bitcoin改善提案(BIP)


BIP(Bitcoin Improvement Proposal)はBitcoinコミュニティーに情報を提供するための設計書です。

https://github.com/bitcoin/bitcoin に公開されています。


BIP0001「BIPの目的とガイドライン」にある通り、BIPには3種類のタイプがあります。

 

①Standard BIP(標準BIP)

ほとんど全てのBitcoin実装に影響を与える変更を記述しています。


例えば、Bitcoinネットワークプロトコルに関する変更や、ブロックやトランザクションの検証ルールに関する変更、Bitcoinを使ったアプリケーションの相互運用に影響を与える変更や追加などがこれに当たります。


②Informational BIP

Bitcoin設計に関する問題点、またはBitcoinコミュニティーへの一般的なガイドラインや情報を記述しています。


ここでは新しい機能は提案されません。

Informational BIPでは Bitcoinコミュニティーでの合意内容や推薦事項が必ずしも出てくるわけではないため、ユーザや実装者は informational BIPを無視することもできます。


③Process BIP (手順BIP)

Bitcoinでの処理手順を記述したり、その処理手順(または処理中のイベント)に関する変更を提案しています。


Process BIPはStandard BIPに似ていますが、Bitcoinプロトコルそのもの以外の領域に対しても適用されます。

ここで実装の提案をするかもしれませんが、コードをベースとしたものではありません。

ここではBitcoinコミュニティー内での合意が必要な内容が頻繁に出てきます。

Informational BIPと違ってこれらは単なる推薦ではなく、一般的にユーザはこれらを無視することはできません。

ここには例えば、処理手順やガイドライン、意思決定プロセスについての変更、Bitcoin開発で使うツールや環境 についての変更が含まれます。

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