こんにちは、えたろうです。
ロジカル・シンキングの伝説的古典である バーバラ・ミントさん著『考える技術・書く技術 -問題解決力を伸ばすピラミッド原則』をお世話になっている方に貸して頂き、読んだので、自分用メモとして要点をまとめた記事を書いていきます。
Ⅰ. 書く技術
主題:「文章を書く際にはピラミッド構造を意識しろ!」
第1章 なぜピラミッド構造が重要なのか
- 「ピラミッド構造って何?」
- 「なんでピラミッド構造が重要なの?」
に答える章
要約
- 人間が同時に理解できるのはせいぜい3つの事柄だから、メッセージを抽象化/グループ化して伝えることが重要
ピラミッド型に並べ換えないと人間は理解できない
前提として人間の脳が記憶したり、一度に理解したりできる独立した物事の数には限界があり、大体3-7個までである。
そのため、伝えたい事柄を論理的繋がりがある形でグループ化し、伝える事柄の数を絞るべきである。
伝える時はトップダウンに配列する
「最初に要約を伝えて、それを支えるような形で説明を付け足していく」
ピラミッドの頂点が「要約」で、ピラミッドを下って行くごとに一個上の階層を説明して行くイメージ。
「抽象から具体」とも言い換えられる。
考える時はボトムアップで構築する
考える際には、沢山ある伝えたいメッセージ・事柄を論理的共通点があるグループに分け、各グループを要約することで一個上の階層を作る。
それをもうこれ以上要約できない地点まで細かく繰り返すことでピラミッド構造を作る。
構築したピラミッドをチェックする三大原則
1. どのレベルであれ、メッセージはその下位グループ群を要約するものになっていること
2. 各グループ内のメッセージは常に同じ種類のものになっていること (要約した内容が一気に抽象化されすぎている場合はこれが破られる)
3. 各グループ内のメッセージは常に論理的に順序付けられていること
① 演繹の順序(大前提、小前提、結論)
② 時間の順序(1番目、2番目、3番目)
③ 構造の順序 (北から南、東から西など)④ 比較の順序 (1番重要なもの、2番目に重要なもの)
順序を考える際には以上の4つの順序付け以外はあり得ないためどれに当てはまっているかを考える。
ピラミッドがこの3点を満たしているかどうかを必ずチェックしよう。
第2章 ピラミッドの内部構造はどうなっているのか
- 「ピラミッド構造は要するに伝えたい事柄をどんどんグループ化して要約して行くってことね、ふーん(ワカッテナイ)」となっているそこの貴方に向けて、もう少し詳しく具体例を出してピラミッド構造とは何かを説明してくれる章
要約
- ピラミッドの内部構造は読者の「なぜ?」に答えるということ。それに従って文章を構成していこう。
縦の関係
ピラミッドの構造は、上の階層を読者が読んだときの「なぜ?」という疑問に下の階層で答えて行くという縦の関係になっている。
縦の関係はQ&A方式である。
読み手が文章を読むのは自分の知らないことを知りたいと思っている時であるため、文章というのは「相手に知らないことを伝える」ためのものである。
読み手が「なぜ?」と感じるポイントを常に意識し、それに逐一答えるような文章構造にすると、読み手は飽きないし、分かりやすいと感じる。
横の関係
横の関係は同じ論理グループに所属している必要がある。
つまり、上の階層のメッセージが横のグループのメッセージの結論になっている必要がある。
結論の導き方は「人間は全員いつかは死ぬ」「織田信長は人間である」ということから「織田信長はいつか死ぬ」を結論づける演繹的手法でも良いし、「右隣の人が会計をしに行った」「左隣の人も帰り支度をしている」ということから「もうすぐこの店は閉店だ」と結論づける帰納的手法でも良い。
導入部のストーリー展開
読み手は何かを知りたいと思って文章を読み始めるので、読み手がその事前疑問を持つに至ったであろう状況を最初にストーリーとして書き、読み手に自分の疑問を再度思い出させてあげることによって、読み始めから引き込まれる。
そして、その疑問に答えるピラミッドの頂上要約メッセージを提示し、またそこで読み手が感じるであろう疑問に答える、という縦の関係で文章を構成して行くのが良い。
第3章 ピラミッド構造はどうやって作るのか
- 「なるほど、ピラミッド構造 完全に理解した」
- 「でも、実際に文章を書く時の手順・コツとかないの?」
に答える章
要約
- トップダウン型アプローチとボトムアップ型アプローチのどちらかでピラミッド構造を作ろう!
トップダウン型アプローチ
伝えたい1つの結論(ピラミッドの頂上)が自分の中ではっきりしている場合には、以下の手順で文章を構成する。
1. 箱を一つ書いて、その中に伝えたい主題をできるだけ短く書く
2. 読み手を思い浮かべて、読み手が持っているであろう疑問を書く
3. 2の疑問に対する答えを書く 、この答えが1の主題になっているか(読み手の疑問に答える主題か)を確認する4. 1の伝えたい主題を伝えるに当たって、読み手が既に知っている事実を前提となる「状況(Situation)」として書く
5. その状況から、読み手の2の疑問のトリガーとなった状況の変化、発生した問題を書く(複雑化(Complication))
6. 5で複雑化した状況に直面した時に持つ疑問(Question)を考え、それが2と同じになるかを確認する
ボトムアップ型アプローチ
自分の中で伝えたいことが1つにまとまらない、結論が出ていない場合には、以下の手順で文章を構成する。
1. 伝えたいポイントを羅列する
2. それらの因果関係を整理する
3. 2の因果関係の図から結論を導く


初心者が気をつけるべきこと
1. まずトップダウンで文章の構成を考えてから書き始めるべき (文章は活字にしてしまうと支離滅裂だったとしても良い文章に見えてしまうため)
2. 導入部分を考えることを怠ってはいけない
3. 導入部分は必ずストーリー形式で書く。「状況(Situation)」「複雑化(Complication)」「疑問(Question)」という順番で構成する4. 過去の出来事は全て導入部分に書く。本文中には考えのみしか書いてはいけない
5. 導入部分は読み手が問答無用で合意することしか書いてはいけない
6. できるだけ演繹的手法による結論付けよりも、帰納的手法による結論付けを使う(帰納的の方が分かりやすいため)
第4章 導入部はどう構成すれば良いのか
- 「導入部はストーリー形式にする?SituationとComplicationとQuestion?もう少し具体的に説明して」
という方に向けた章
要約
- 相手にとっての既知の事実/状況を述べ、その後に状況(Situation)の変化を伝えて相手に「どうしよう?」という疑問を感じさせるのが導入部
- その疑問に対してのソリューションとして「自分はこうするべきだと思うぜ!」という主題を叩きつけるべし!
ストーリー形式
導入部は読み手を惹きつけるのに最も重要なので「読み手にとって既知の事実しか書かない」「読みやすいようにストーリー形式で書く」ことによって、読み手を飽きさせない。
読者が持つであろう「疑問(Question)」に繋がるように、既知の事実である「状況(Situation)」と疑問のトリガーとなる「複雑化(Complication)」をストーリー形式で展開するのが導入部である。導入部を読んだ読者が持った疑問(Question)に対しての回答として自分の主張を書いていく。
具体例としては以下
以下の図のように、導入部・主題の後に、キーライン(主題の一つ下の階層グループ:主題の根拠となる事柄)を箇条書きにし、そのキーラインをそれ以下で章にして説明していくと分かりやすい文章になる。

また、以下のようにキーラインの説明をする章の中でも、導入部分を同じように記述してから、キーラインを支える主張を書いていく。

導入部分は冗長になりすぎないように、できるだけ短く書くと良い。
第5章 演繹法と帰納法はどう違うのか
- 「演繹法と帰納法って言ってたけど、何が違うのかあんまり分かりません」
という貴方に向けた章
要約
- 演繹法は、論理が一本の線で繋がるイメージ。この方法で考えるのは簡単だが、まどろっこしい説明になりがち
- 帰納法は、同列の複数の事象から一つの結論を導くイメージ。主題に対する根拠を箇条書きで提示できるのでとても分かりやすいが、扱いが難しい
演繹法と帰納法の違い
演繹的理由付けの特徴
演繹法とは、「一般的な法則から特殊な事例を推測すること」
* (1) 世の中の実在する状況について述べる
* (2) 同時に世の中に実在する関連状況について述べる
* (3) 2つの状況が意味することについて述べる
といういわゆる三段論法の論理構造になる。
演繹的理由付けは、通常の人間の思考パターンなので、基本的には演繹法で思考しがちということを念頭に置いておく必要がある。

演繹法の弱点は、「必ず一本の線で論理が繋がる、すなわち各ポイントを物語形式にする」必要があるため、まどろっこしく、複雑な論理説明になってしまうという点。
まどろっこしいのでキーポイント(主題を支える論理根拠)レベルまでのピラミッド上層部では、演繹的手法は使わないほうがいい。
帰納的手法の方が、ポイントを箇条書きできて分かりやすく書ける。
特に図表18のように三段論法における第1ポイント、第2ポイントなどに複雑な説明が必要な場合は、帰納的手法の方がシンプルに分かりやすく書けることが多い。
演繹法は「第一ポイントの主部または述部に対して、第2ポイントが説明を加える」という特徴がある。
この特徴を満たしていない見かけの演繹論法として、
全ての共産主義者は社会医学の提唱者である。
何人かの大臣は社会医学の提唱者である。
それゆえに、何人かの大臣は共産主義者である。
という例が挙げられる。
帰納的理由付けの特徴
帰納法とはいくつかの特殊な事例から一般的な法則を推測する手法。
いくつかの異なるもの(考え、出来事、事実)が何らかの点で似ていることに気付き、それらを1つのグループにまとめ、類似点についての意見を述べるという手法である。

帰納的理由付けは、上記のように複数あるポイントを、ある一つの名詞(上の図で言うと仕組み・手順・問題分野)でグループ化して、そこから導ける推論を立てることによって行われる。
横並びにグルーピングされる事柄は「同じ主部または述部を持つ」という特徴がある。
また、グループ化した各事柄のなかで不釣り合いなものがないかどうかを見極める力も必要。

例えば上の図は、一見帰納的推論に見えるが、「生産性が低い → コストが高い → 価格競争力がない」「残業時間が多い → コストが高い → 価格競争力がない」というように横並びにされている3つの事柄の間に演繹的関係が成り立ってしまっている。これが不釣り合いな状態である。
このように、「見かけの帰納的推論」をしてしまうことも多いので注意が必要。
まず、挙げられるポイントそれぞれに演繹的繋がりがないかどうかを確かめ、無ければ、あるひとつの名詞でグルーピングできるかどうか、同等な横並びの事象として並べられるかどうかを確かめ、並べられるならば帰納的理由付けにできる。
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